今回はセリカ1600GTVがコンプリートカーとして出来上がるまでのお話しです。
当時の友人でもあったお客様がプリンス・スカイライン2000GT/Type-B(S54Bエンジン)を所有していて、そのスカイライン2000GT-Bのメンテナンスと整備の管理を私がしていました。
その関係から、私が所有していたセリカ1600GTV(115PS)と1968年式スカイライン2000GT(Type-B、S54-B 125PS)は毎週1回は、必ずお互いの車両性能を確認する目的でドライブを楽しんでいました。
特に長距離ドライブに成れば、お互いの性能確認をする最適な場面が多く、両者の性能を存分に引出し楽しんでいました。しかし高速道路に入ると私のセリカ1600GTVではスカイライン2000GT-Bにはどうしても太刀打ち出来ないスピード差に悔しさは蓄積して行き、いつのまにか打倒スカイライン2000GT-Bへ向け、エンジンのチューニング計画が始まっていました。セリカの基本的な動力性能不足は明確で、直線になればいつも置いてきぼりとなるので、常に悔し思いをしながら密かにセリカのエンジンチューニング/ステージ1の計画を立て、部品購入費と加工費用を稼ぐ為に食事代もケチり乍ら、チューニング費用を貯めた記憶が有ります。
実際の開発作業では、目標馬力115PS~135PSにする為のチューニングから始まりました。
エンジン本体の全分解、シリンダーブロックもシリンダーヘッドの吸気系から排気系も全面見直しを行いチューニングを開始しました。ピストンは当然鍛造ハイコンプレッションピストンを使用。また特にシリンダーヘッドのインテークポートなどは、ソレックスキャブレターの性能を十二分に引き出すための加工を施しました。加えて圧縮比の変更等々。
排気量は現状維持で、シリンダーヘッドの吸気、排気バルブサイズアップ(ビックバルブ)、当然高回転域に対応するバルブスプリング、カムシャフト等の交換を施し、徹底したNA高回転型チューニングエンジンとなりました。
ノーマルエンジンの回転数より800~1000RPMへ上昇させ、理想的パワー&トルクアップを図る特性を持ったエンジンを、低/中/高回転域までを徹底した慣らし運転をしながら燃料霧化状態図り、ベストな点火タイミングを探し走らせながら作り込んでいきます。その結果劇的な変化を遂げたエンジンが出来上がりました。
『よし、これはいけるぞ!』
件の友人を以前と同じドライブコースに誘い込み競争した結果、問題なくスカイライーン2000GT-B(125PS)を直線からコーナーリングまで全て、小馬鹿にする走りに成功したのでした。
その後、何度も友人から挑戦状を貰いましたが、いつもの高速ドライブコースでの競争では、全て問題なくクリアー出来て優越感にしたっていた矢先、友人は私に内緒でマツダサバンナロータリーGSⅡ(E/Gはロータリー10Aタイプ搭載)を買って来たのです!
再び恒例のドライブコースでの挑戦状受けると...またもや悔しい思いが始まるのでした。(その当時のサバンナロータリーはとても速かった~~)私のセリカ1600GTVのコンディションは最高に感じていましたが、どうしても直線道になれば徐々に離され、コーナーになれば追いつけど、また離されての繰り返しでした。
サバンナロータリーにどう対抗していくかと悩んでいた時、排気量アップ出来るピストンが手に入る話しが耳に入ってきました。ここにステージ2仕様として1760 CCのエンジン仕様に大手術を行うことで、ロータリーエンジン、マツダサバンナを叩ききつぶすチューニング計画が発足したのです。
マツダロータリーサバンナGSⅡ 車両を叩き潰すチューニング内容と走りの結果は、IDINGPOWER誕生前夜物語<No.4>へと続きます。