マツダサバンナGS2ロータリーーエンジン車を叩き潰す為、次の一手はセリカGTの1600ccの排気量を1760ccに拡大することでした。吸気、排気効率を上げる為に競技用にも使用している5種類のカムシャフト&ピストン部品を使い別け、高回転時のパワーとトルクを如何に引きだす為に、当時の社宅借家(6畳一間)で、エンジンが気持良く回る為の部品加工と重量バランスを調整を徹底的に行いました。
こうしてIDINGセリカはセリカ1760GTとして完成しました。エンジン完成後はエンジンと対話をしながら徹底した慣らし運転とエンジン特性を最大に生かす為に点火系の性能とキャブレターのセッティングを細かく繰り返し行いました。
そして約4ヶ月後、再び高速バトルの挑戦状を叩きつけで高速ドライブに挑んだ結果では、同等の走りで少しはセリカ1760GTが優勢になった走りで終わっものの、『叩き潰す』と云う処まではいかず、釈然としない状況でした。そこから更に吸気系、ソレックスキャブレターの微調整を行いながら、車両本体の改造(ボディー補強)や足回の見直し、ダンパーとスプリングレート等の仕様変更も行いました。その結果、コーナーの進入と出口で圧倒的な走りにする為のトータルバランスを獲得し、サバンナ「ロータリーGSⅡ」を凌ぐ事に成功したのです。
しかし今も昔も(?)話しはここで終わらないのが「走り屋」或いは「カーキチ」「クルマバカ」の常です。負けず嫌いの友人は私に内緒で新しく発表されたサバンナGTを購入して来たのです(エンジンはロータリー10Aから12Aへ)。当然、打倒IDINGセリカGTを叩き潰すつもりで購入したのでした。
新車発表から4.5ケ月後にサバンナGTの新車お披露目と同時に、慣らし運転もしていない新車でいつもの高速ドライブコースへのお誘いに応じたIDINGセリカ1760GTは、コーナの入口/出口では速くても直線でのバトルでは12Aロータリーとは話に成らないものでした。私は運転中に思わず『速ぇ~な!!』と叫んだ事を覚えています。12Aロータリーエンジンは4サイクルエンジンに比較すると3,000ccに匹敵するらしく4~50キロからの加速には圧倒され完全に撃沈させられました。なんともこの悔しさは夢にまで出て来る程で、1760ccでは同じレベルの走りは出来ないと感じ、もう一度パワーアップ計画を練った結果、IDINGセリカGTV 2TG-S3(2010cc)スペシャルエンジン192PS仕様の製作を開始という展開になるのでした。
.またまた新規製作部品と加工代金に追われる日々が….!!
1760ccから2010ccの2TG-S3となるIDINGセリカGTの物語は、IDINGPOWER誕生前夜物語<No.5>へと続きます。